社交不安障害を発症する要因と経過 -SAD①

窓の外を眺める犬不安症
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社交不安障害とは

社会不安障害とは、人と関わる場面において、不安や緊張が強いために、社会生活に支障が出る状態 のことをいいます。

社交不安障害の悪化しやすい要因としては、人前でしゃべる機会が増え、そのことに強い負担やプレッシャーを感じるようになったことが多い。

次に多いのは、人前で食事をするのが苦手で、緊張のあまり気分が悪くなったり、そうなるのが不安で会食を避けたりする。

また、視線に対する過敏さや、赤面したり体が震えたりすることに過敏になることも多い。
視線に過敏なため、相手と目を合わせるのが苦手で、ぎこちなく身を反らせてしまったり、うつむきがちになったりしがちで、自分の視線が相手を不快にしているのではと心配している場合もある。

社交不安障害の要因

社交不安障害を発症する要因として、以下の遺伝的要因、発達的要因、養育要因、体験的要因があげられます。

遺伝的要因

不安を感じやすい敏感な気質や、行動抑制(初めて経験する事態に遭遇すると、固まって何も言えなくなったり、縮こまってしまうこと)が、強く、引っ込み思案で内向的な気質の人は、なりやすい。
ただ、もともとの気質もある程度関係するが、どういった生活を送るか、どういう体験をするかによって、大きく違ってくる。

発達的要因

発達的要因として重要なのは自閉スペクトラム症( ASD)との関係。
ASD の傾向があると、感覚が過敏だったり緊張が強かったり、社交的スキルやコミュニケーションが少し、つたなかったり、意識が集中しすぎて周囲が見えなくなったりする。
そうした要因のために社交の場での失敗体験も起こりやすく、社交不安障害にかかるリスクが上がる。

また、養育の問題で生じる「回避型愛着スタイル」や「恐れ・回避型愛着スタイル」のケースも、ASDとよく似た症状で、否定的な体験に伴う対人関係の困難さが目立つ。

養育要因

発症しやすい要因として、過保護、拒否、情緒的ぬくもりの欠如と言った親の養育スタイルの問題が挙げられる。
過保護な養育は、社会的な体験や訓練の不足の原因になったり現実対処能力や自信の低下を招いたりしやすいと考えられる。
一方、心理的虐待とも言える拒否的で情緒的な温もりに欠けた養育を受けた人は、社交不安障害を発症しやすいというだけではなく虐待の程度がひどいほど障害の程度も重く、通常の認知行動療法や薬物療法に反応しにくいとされる

体験的要因

いじめは、発症リスクを高める体験的要因の一つ。
社交不安障害では、子供の頃いじめを受けたことのある人の比率が他の不安障害よりも高い。
いじめの被害に遭うことにより、人に対する恐怖感を植え付けられるだけでなく、自分は人から嫌がられてるといった否定的な自己像を形作ってしまうからだと推測されている。

社交不安障害発症に至る経過には、もともと過敏な性格だった場合と、積極的だった場合がある

もともと恥ずかしがり屋だった人

もともと人前で緊張しやすく、一人で何かをすることにも不安を感じやすかった人が、何かのきっかけで強い不安や恥ずかしさを感じてしまい、以降、同じような状況に対して不安・緊張が増し、その状況を避けるようになったという場合。

過敏な気質があると環境要因の影響も受けやすく、いじめや学校での否定的な体験を引きずっていることも多い。
経過も長く過敏で不安が強い遺伝的傾向を持っていることが多いので苦手意識も根が深い。
自信がないだけでなく、より過敏で話したりするスキルも低いことが多い。

難しい課題に、いきなり取り組もうとしても、うまくいかず余計に自信がなくなってしまう。
時間をかけてじっくり土台となる能力を高めていくことも必要である

もともとは積極的で人前で話をしたり不安やためらいもなかった人

思春期青年期から神経質な傾向が強まったり、プレッシャーの強い状況で人前で話さなければならない機会が増え、失敗体験などから急に苦手意識を持つようになる場合。

時にはあまり明白なきっかけもなく、いつとはなしに引っ込み思案な性格に変わったという場合もある。

こちらは少なくとも、ある時期までは苦手意識はなく、かえって得意だったときもあるぐらいで、現在の状態は不運なアクシデントや無理な状況による一過性の面がある

スキル自体はあるものの、自信を失っていることに最大の問題があるとも言える。
自信を取り戻すことが、かつてのように気楽に人前で話をしたり、社交を楽しんだりできる状態を取り戻す上で鍵を握る。

※中学、高校頃から、いつとはなしに人前につ出ることが苦手になって、社交を避けるようになったという場合には、別の精神疾患の可能性もある。

社交不安障害の人の不安の正体

社交不安障害の人は、他者に良い印象を与えなければならないという思い込みに捉われている。
そこには、自分はつまらない、人に笑われるような人間だという根拠のない確信があり、その否定的な評価から自分を守るために、他者によく思われるように完璧に振る舞わなければならないという基準を自分に課している。

ところがその基準に縛られるほど完璧に振る舞えず、失敗したら自分は笑いものになるという不安が生まれ、強まることになる。
それが社交不安障害の人を苦しめている不安の正体だというのだ

さらに社交不安障害の人が、混乱やパニックに陥るメカニズムとして自分自身への過度な注目がある。
人の評価を気にしながら、人の反応ではなく自分自身の反応の方にとらわれてしまう
手が震えていないか、声が上ずっていないか、周囲に聞こえるような大きな音で動悸がしていないか、呼吸が乱れていないか、赤面していないか、頭が真っ白になってしどろもどろになっていないかなど自分自身の身体感覚に注意が向けがばむくほど、周囲の注目を一身に集めてしまっているように感じ、それゆえに更に過度な注意を自分に向けてしまう。
注意が向くほど身体感覚の異変は強まり制御できなくなっていく。

やがて制御できない身体感覚の暴走に圧倒され、肝心なパフォーマンスに全く集中できなくなり、周囲が見えなくなり、自分が何をしているのかも分からなくなっていく。

結局、笑われることを恐れるあまり、人前で気軽に喋ることができず失敗するという事態に自分を追い込んでしまい、恐れるがゆえに恐れたようになるという心理的なパラドックスに陥ってしまう。

心理的パラドックスからの脱出 

このパラドックスから脱するには、不安になるかならないかで頑張らない。
うまくいくかいかないか、笑い者になるかならないかということでは戦わないこと。

不安を感じることは自然な反応であり必要な反応である。
不安を感じることは悪いことでも、どうにかしなければならない問題でもない。

不安になろうがなるまいが、そんなことはどうでもよく肝心なことは自分が伝えたいと思っていることを誠心誠意伝えることだと自分の使命や思いに重きをおく

うまくいこうがいくまいが笑われようが喝采されようが聴衆の反応ではなく自分が伝えたい思いの方に集中する

この考え方を身につけることができると、人前で話すといった場面で、たとえ緊張していても、うまくスピーチやプレゼンをやりこなせるようになる。

Minori
Minori

岡田尊司先生の「社交不安障害-理解と改善のプログラム)から、SADになる要因や不安の正体をまとめました。
次の記事では、SADとSADに似た疾患とを鑑別するチェックテストをつくりました。

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