人は誰でも、心のなかに「ストロークの壺」を持っているといわれています。
この壺は、やさしさや励まし、ふれあいといった“ストローク(心の栄養)”を受け取ることで満たされ、私たちの心を安定させてくれます。
でもこの壺、実はとてももろくて、”ディスカウント(否定や無視、軽視など)”によって、すぐにひびが入ってしまうのです…。

ストロークとディスカウント
ストローク
ストロークとは、相手の存在や価値を認める「心の栄養」でしたね。
でも、その栄養が不足すると、人はさまざまな形で心のバランスを崩してしまいます。
たとえば、誰かにひどく傷つけられたときに、その言葉が何年たってもトゲのように残ることはありませんか?
それはもしかすると「ディスカウント」だったのかもしれません。
ディスカウント
ディスカウントとは、相手や自分の価値を「引き下げる」行為。
無視したり、馬鹿にしたり、「どうせ無理だよ」「お前はダメだ」といった言葉で、存在そのものを否定するようなメッセージを投げかけることです。
否定的ストローク
一方で、「それは危ないからやめておこうね」「この方法がもっといいかも」といった注意や助言は、否定的ストロークです。
これは、相手の存在を尊重した上で「やり方」や「行動」に対して指摘をするもので、根本的には相手を否定していません。
…でも、この2つは表面上ではとてもよく似ているんです。
たとえ“善意”のアドバイスであっても、「あなたのため」と言いながら、実は相手をコントロールしたり、力でねじ伏せたりしていないか?
自分が「これはストロークのつもり」と思っていても、
相手にとっては“存在を否定されたように感じる”こともあります。
ストロークは、伝え手の意図より、受け手の受け取り方が大切なんですね。

ディスカウントが生む心のダメージ
他人からのディスカウントだけではなく、私たちは自分自身にもディスカウントをしてしまうことがあります。
- 私なんて…
- どうせやってもうまくいかない
- 愛されるはずがない
- 私には価値がない
こうした“自分で自分を傷つける”思考は、まさに内なるディスカウントです。
この状態が続くと、心の中の「ストロークの壺」がどんどん空っぽになり、
無気力・孤独感・自己否定・生きづらさが強くなっていきます。
ディスカウントに、びびらなくて大丈夫
HSPのように繊細な人にとって、こうした怒りや否定のエネルギーはとても怖く感じます。
「自分が否定されている」と受け取って、心がギュッと萎縮してしまうこともあるでしょう。
でも…少しだけ視点を変えてみてください。
ディスカウントをする人は、本当は「うまく伝える方法を知らない」「余裕がない」人かもしれません。
自分が満たされていないから、誰かを下に見ることで安心したい。
自分の不安や弱さを隠すために、強い言葉で武装している…。
そう考えると、「あの人の言葉=あなたの価値」ではないとわかってきます。

びびらなくていいんです。
あなたが悪いわけじゃないし、ディスカウントをまともに受け取る必要もありません。
「今、この人は自分を守ることでいっぱいいっぱいなんだな」
そんな風に思えたら、少し距離を取ることも、自分を守る大切な選択になります。
ディスカウントを手放すために
もし、自分が他人や自分をディスカウントしてしまっていると気づいたなら、
それは「心の壺がひび割れている」サインかもしれません。
だからこそ、自分を責めず、「今、自分に必要なのは“ストローク”なんだ」と気づいてあげることが大切です。
壺を修復しながら、少しずつ“心が満たされる感覚”を取り戻していけたらいいですね…。
ストロークを与えられないのは何故?
それでも、なぜストロークを与えることが難しいのか?
なぜ人はストロークを与えられなくなるのでしょうか?
ここでは、書籍『ストロークライフのすすめ』に紹介されていた、「ストロークを与えられない17の理由」をご紹介します。
ストロークを与えられない17の理由
- 悪いところばかりが目につくから
注意はできても、褒めるポイントを見逃してしまう。 - 自分がもらってこなかったから
ストロークの与え方がそもそもわからない。 - 条件つきで育てられてきたから
「いい子にしていたら認めてもらえる」が刷り込まれている。 - 与えるだけでは損だと思ってしまうから
返ってこない前提で行動できない。 - 与えると図に乗ると思うから
褒めたら調子に乗ると誤解している。 - 求めるレベルが高すぎるから
理想に届かないと褒められない。 - 自分が負けた気がして悔しいから
相手を認めると自分の劣等感が刺激される。 - 与えても与えなくても同じだと思っているから
期待しない癖がついている。 - 面倒くさいから
言葉にする手間を惜しむ。 - 自分が言う資格がないと思うから
自信のなさがストロークを遮る。 - 言わなくても伝わっていると思い込んでいるから
本当は伝わっていない。 - 相手が目立つのが嫌だから(嫉妬心)
無意識に引き下げようとしてしまう。 - 自分も欲しくてたまらないから
与えるよりも、受け取りたい気持ちが強い。 - 自分の方が上だと思いたいから
ストロークを与えると対等になるのが怖い。 - 相手に依存されるのを恐れているから
与え続けることが負担になると思っている。 - ストロークを使って支配したいから
あえて与えないことでコントロールしようとする。 - 自分自身が満たされていないから
他人に与える余裕がない。
これらの理由のどれかに、思い当たる節があるかもしれません。
でも、それであなたがダメということではなく、「そのストロークを与える経験が足りなかった」だけなのです。
2の「貰ってこなかったので、与え方がわからない」に尽きるのかもしれません。
少しずつ、自分にも他人にも、あたたかいストロークを与える練習をしていけば大丈夫。
👉パート4:次回は、自分の心の壺を満たすための具体的な方法を紹介していきますね。