こんにちは、みのりです。
今日は、二大原始反射のひとつでもあり、HSP(繊細さん)やSAD(心配性さん)の方に関係が深いと言われる「モロー反射」についてお話しします。
赤ちゃんにとって大切なこの反射が、大人になっても残るとどうなるのか、対処法もあわせてご紹介します。
モロー反射
モロー反射とは
モロー反射は胎児期から生後間もない赤ちゃんに備わる、急な危険に対して身を守るための反射です。
具体的には、大きな音や突然の刺激を受けた際に、赤ちゃんが両手足を広げ、そのあとゆっくり何かを抱きかかえるようなしぐさのことをいいます。
これにより赤ちゃんは自分の体を守る準備をします。
これは特に生後6か月ごろまでには消失し、やがて自分の意思で行動を制御できる「随意運動」へと発展していきます。
生後間もないの赤ちゃんに刺激が加わると、モロー反射が警報のような役割として(それが本当の危険でないとしても)危険に対する準備をします。
それがモロー反射の役割です。
大きく身体をそらすポーズは、落下から自分の身体を守るためのポーズと考えられ、そのあとに身体を丸め泣き叫ぶのは、お母さんにしがみついて臓器を守るためのポーズだと言われています。
通常は幼児期には消失しますが、何らかの理由で残存すると、成人後も不安感やストレスに対して過剰に反応する傾向を持ちやすくなります。
このため、危険や不安を感じやすく、日常的に体が緊張してリラックスできない状態が続くことがあります。
これが、感覚過敏、緊張、不安、集団行動や人間関係の難しさなどに影響を及ぼします。
モロー反射と闘争・逃避反応
闘争・逃避反応(fight or flight response)は、生命の危機や強いストレスにさらされたときに、自律神経系(特に交感神経)が活性化し、危険から逃れるか対抗するかを促す反応です。
この反応は私たちが成長するにつれ、日常生活で自然に起こるもので、状況に応じて適切に「戦う」か「逃げる」かの判断をするために役立ちます。
闘争・逃避反応の仕組み
- 交感神経の活性化:
危険を感知すると、脳は交感神経を活性化し、アドレナリンやノルアドレナリンを分泌します。 - 身体的な反応:
心拍数や血圧が上昇し、筋肉が緊張、呼吸が速くなるなど、体が即座に行動できるように準備をします。 - 選択:
その場に立ち向かう(fight)か、逃げる(flight)かを瞬時に判断しやすくします。
モロー反射と闘争・逃避反応の関係性
モロー反射は原始的な危機感知システムであり、危険に直面すると赤ちゃんの体が自動的に反応し、自己防衛行動を取ります。
生後すぐに闘争・逃避反応のような複雑な反応はまだできませんが、モロー反射を通じて危機に備え、成長とともに闘争・逃避反応に置き換わっていくのです。
モロー反射の残存が闘争・逃避反応に及ぼす影響
モロー反射が残存していると、通常のストレスや刺激に対しても過剰に闘争・逃避反応を引き起こしやすくなります。
このため、通常は脅威とは言えない小さなストレスや環境変化にも不安感や恐怖が生じ、慢性的な緊張状態に陥りがちです。
例えば…
- 過敏症:
モロー反射が残っていると、些細な音や光、他人の言動に過剰反応し、不安や緊張が絶えない。 - 感情のコントロールが難しい:
闘争・逃避反応が頻繁に起こることで、日常生活での些細な判断に対しても緊張しやすく、衝動的な反応をとりがち。 - 社会的な問題:
他者と一緒にいるときにも小さな刺激で警戒モードに入りやすいため、集団行動でリラックスするのが難しくなる。
以前、「不安障害とは -センサーの問題-」の記事で、不安症の危険センサーの過剰反応について次のように書きました。
闘争・逃避反応も、取り扱っていますので、よければ、参考に読んでみてください。
例えるなら、魚を焼くたびに火災センサーが反応するようなもの。
実際には火事になっていない。
それと同じように、危険を感じるセンサーが過剰反応している。
センサーは機能しているが調整が必要なだけ。
モロー反射残存チェック
モロー反射が残存していると、下記のような困りごとが多いです。
まずは、チェックしましょう。
どうでしたか?
衝動的振る舞いや、活動過多(ハイパーアクティビティ)など、HSPとは関係なさそうな面がありましたね。
びっくりすると、体が大きく動いてしまうのは、私のずっとの悩みです。
昔から、大きな声がしたり、予測しないときに声をかけられたりしたときに、デスクでペンを持っていると、あらぬ方向に描いてしまうぐらい、驚きます。
まるで、何か悪いことをしていたかのような驚きようで、恥ずかしく感じていました。
50年以上たって、初めて謎が解明しました。
モロー反射が残存して、コントロールできない状態なんですね
【性格傾向】
優しい性格で賢く、創造的なところがあるのと同時に、過剰に反応したり、攻撃的だったりわがままな一面を持ち合わせている。
その予期しにくい変化の速さに身近な人が振り回されやすい。
ずっと興奮しているかの印象。
集団行動することが苦手だったり、愛情をうけいれることが苦手で、素直に好きと言えないことがあるそうです。
私は、衝動的部分はないと思っていたのですが、言われてみれば、確かにすぐに「答え」や「結果」を出したくてイライラする一面があると気づきました。
モロー反射とは、突然の音や光、刺激などに、脳ではなく反射で反応してしまうので、コントロールできないんですね。
私はモロー反射をばりばり保持しているので、よくわかりませんが、通常に発達した人は、余計な刺激がなく、落ち着いて何事にも集中できるということですね。
なんと、うらやましいという反面、自分がよくここまで頑張ってきたなと、ほめてあげたくなります。
皆さんも、自分をいたわってあげてくださいね。愛情を素直に受け取り、与えることができるよう、統合しましょう♪
集団が苦手なわけ
モロー反射が残存すると、常に警戒モードが働いている状態になるため、不安や緊張が抜けにくくなります。
このため、他人と接する際にリラックスが難しく、自己防衛的な反応が出やすくなります。
これが、集団行動が苦手に感じられる一因と考えられます。
特に、HSPや不安傾向のある人は、過剰な警戒が働きやすいため、他人の視線や行動に対して敏感で疲れやすくなり、人といることがストレスになる場合もあります。
愛情を受け取るのが苦手だったり、好きなのに嫌いというのはなぜ?
モロー反射が残っていると、脳が常に「警戒モード」に入っており、リラックスしたり安全を感じるのが難しくなります。このため、人からの愛情を素直に受け入れる際にも無意識の防衛反応が働き、「好意=安全ではないかも?」という不安や警戒心を持ってしまいます。
また、心を開くことへの不安が強いため、好意を抱いた相手に対しても「どうせ裏切られるかも」「傷つけられるかも」という防御的な気持ちが表れ、距離を取ろうとしてしまうことがあります。
結果として、相手への好意とそれに反発する気持ちが混在し、気持ちがうまく表現できず、「好きだけど嫌い」という矛盾した態度が生まれることがあるのです。
このような現象は、特にHSPや不安傾向が強い人に見られやすく、幼少期の経験や環境によって強化される場合もあります。
モロー反射統合エクササイズ
モロー反射統合には、後ろに反り返るエクササイズが、統合につながります。
ヒトデポーズやブリッジのエクササイズを後に紹介していますが、「後ろに反り返る」運動やポーズなら、好きなものでOKです。
ヨガのポーズで探すのもいいですね。
【ヒトデのポーズ】
- 床や椅子の上に座る
- 足首と腕を身体の前でクロスし、重ね合わせる(足と腕は同じ方を上にする)
- 息を吐きながら両手両足を大きく広げる
この時首をしっかり後方に反らす - 息を吸いながら両手両足を元に戻しクロスする(このとき、両手の重ねる向きを入れ替えて、首をしっかり中に入れる)
- 満足するまでやりきる
【ブリッジ】
- 仰向けに寝る
- 胸の前で合掌し、両手を押し合う(全力の半分くらいで)
- 背中を反らして浮かし。ブリッジのような姿勢で7秒間息を吐く
- 満足するまでやりきる
バランスボールの上でのブリッジもいいですね。
(ボールを固定していないと、危険です)
イラストは、灰谷孝著 「人間脳を育てる」より
あと、猫のポーズで知られるこのストレッチも背中を反らす、丸めるの動きですね。
このストレッチも背中を反らす、丸めるの動きがありますね。
このストレッチ、懐かしいですね。覚えていますか?
二人で腕を組み、交代で相手を背中に乗せるストレッチです。
パートナーがいれば、これも楽しいですね。
背中を丸める、反らすの動きです。
まとめ
モロー反射は、赤ちゃんが驚いたときに手足を広げる防衛の反射のこと。
モロー反射の残存があると、脳が常に危機にさらされているかのように感じてしまい、日常生活でも些細なことで緊張や不安が募りやすくなる。
これらの警戒や不安が社会生活や愛情関係での不安感や不安定な態度につながり、「好きだけど嫌い」「仲良くしたいけど怖い」といった矛盾した感情が生じやすくなる。
背中を反らすエクササイズがモロー反射統合に効果がある