PR

脳の進化と髄鞘化が明かす原始反射統合の秘密

原始反射残存
スポンサーリンク
スポンサーリンク

脳の構造と原始反射残存

アメリカの神経科学者ポール・マクリーンが提唱した「三位一体脳理論」によると、脳は進化の過程で3つの層に分かれ、それぞれ異なる機能を持っています。

最も原始的な部分は「爬虫類脳」と呼ばれ、脳の奥にある「脳幹」に相当します。
この部分は、呼吸や体温調節、ホルモン分泌など、生きるために必要な基本的な機能を担っています。

次に進化したのが「哺乳類脳(大脳辺縁系)」で、感情や記憶を司り、喜怒哀楽や社会的な絆に関わります。

そして、最も新しい部分が「人間脳(大脳新皮質)」で、論理的思考や創造性、意思決定を担う高度な領域です。
五感、運動、言語、記憶、思考などの複雑な機能を果たしています。

これら3つの脳は密接に連携しながら働いていますが、原始反射の残存はこの連携の不調を引き起こす要因となることがあります。
また、原始反射が統合されない原因の一つに、「髄鞘化」の遅れが挙げられます。

原始反射の残存は、この爬虫類脳(脳幹)の統合の不完全さに起因し、その結果、次に進むべき大脳辺縁系や大脳新皮質への影響を及ぼし、機能の不調和を引き起こすことがあるとされています。

つまり、脳の各部分がうまく連携できないのです。
連携がうまくいかない理由のひとつと考えられることに、神経細胞(ニューロン)の髄鞘化があります

神経細胞の(ニューロン)の髄鞘化と原始反射

ニュートン別冊「脳とニューロン」より

神経細胞(ニューロン)の軸索は、大人では「髄鞘」という膜で覆われていますが、赤ちゃんの神経軸索は髄鞘がない状態で生まれます。

この軸索が十分な太さに達すると髄鞘が形成され、電気信号を効率的かつ高速に伝達できるようになります。

どれくらい速い?

髄鞘がない状態では、電気信号の速度は秒速1~2m(人がゆっくり歩く速度)程度ですが、髄鞘が形成されると秒速100m(時速360km、新幹線並み)にまで高速化されます。

この仕組みを「跳躍伝導」と呼びます。髄鞘が電気信号の漏れを防ぎ、信号を飛び越えながら伝えることで、伝達速度が飛躍的に向上するのです。

下図は髄鞘化した神経細胞(ニューロン)の軸索の跳躍伝導の様子です。

出典元:Newton 発達障害の脳科学


下図は神経細胞(ニューロン)の軸索の髄鞘化したものと、していないものの電気信号の流れです。

チャイルドリサーチネット」よりお借りしました

電車でいうと、各駅とまる各停か、髄鞘化された部分は停まらずに、ひとっとびでいく特急の違いです。

脳を、コンピューターとみたときは、伝達速度高速化をしているわけです。

脳は、ネットワーク構築をするかのように、ニューロンが形成されていき、最適化するように、今度は刈込といってあまり使われないものを、減らすように調整していきます。そして、髄鞘化(脳の神経細胞の伝達速度の向上)と進んでいきます。

発達障害が、中枢神経の障害といわれるのは、このことが関係しているようです。

栗本啓司さんが書かれた「人間脳の根っこを育てる」では、中枢神経を育てる提案をしています。

著書のなかで、このように説明しています。

無意識的な運動に関係している原始反射等の動きを通して、中枢神経系の髄鞘化が起きてきます

中枢神経は背骨の中にあるので、背骨へのアプローチが効果的だそうです。
原始反射が残存して生き辛さを抱えているひとには、統合するべき時期の動きを、やりきることを進めています。
呼吸から始まり、背骨(背中)へのアプローチ、匍匐前進、金魚体操などがありますが、そういう動きをすることで、つるつるの軸索を今からでも髄鞘化しようと提案しています。

原始反射の統合と髄鞘化は、私たちの脳と体を本来のバランスに戻し、スムーズな思考や動作を実現する鍵です。
この記事で紹介したように、呼吸や背骨へのアプローチ、簡単な動きを取り入れることで、体が変わる実感を得られるかもしれません。
大切なのは、難しい運動ではなく、自分のペースで日常生活に少しずつ取り入れてみることです。
未来の自分のために、今ここから小さな一歩を始めてみませんか?

具体的にどんな動きをすればいいかは、下記の記事で紹介しています。

タイトルとURLをコピーしました