前回は、HSPの心が枯れやすい理由として「ストロークの壺」という考え方を紹介しました。
壺が空になると、心は枯れていきます。
HSPは配慮上手だからストロークを「あげる」のは得意だけど、「もらう」ことは遠慮しがち。
それに、傷つきやすく壺から漏れていきやすい。
さらに、もうひとつ、壺を空にしてしまう大きな原因があります。
それは、
自分で自分をディスカウントしてしまうこと。
この記事では、セルフディスカウント(自分への値引き)と、そこから生まれるネガティブスパイラルについて解説します。
セルフディスカウントという毒
ディスカウントとは、相手の存在や価値を「値引き」すること。
馬鹿にしたり、軽く見たり、否定したりする言動のことです。
恐ろしいのは、これを自分に対してもやってしまうこと。
「私はダメだ」
「どうせ、やってもうまくいかない」
「失敗するに決まっている」
「きっと嫌われるに違いない」
「私なんか可愛くない」
「私にできるはずがない」
こうした言葉を、心の中で自分に投げかけていませんか。
これがセルフディスカウント。
自分で自分に毒を盛っている状態です。
毒を飲み続けると、どんどん不健康になり、やがて元気がなくなり、
魅力的でなくなり、仕事もこなせなくなり、行き着く先は無気力。
HSPは気づく力が高い。
だから相手の気持ちにも敏感だけど、自分の欠点も鮮明に見えてしまう。
「あの時、もっとこうすればよかった」
「また同じ失敗をしてしまった」
「あの人はできているのに、自分はできない」
見えすぎてしまうからこそ、自分を責める材料には事欠かない。
これが、HSPがセルフディスカウントに陥りやすい理由です。
ネガティブスパイラルとは
セルフディスカウントが連鎖的に起こる状態を、ネガティブスパイラルと呼びます。
小さなミスをしただけなのに、過去の失敗を次々と思い出し、延々と自分を責め続け、最終的には「もう生きていけない」とまで思ってしまう。
一度この渦に巻き込まれると、なかなか抜け出せません。
ネガティブスパイラルの流れ
1. 小さなミスをする
2. 「また失敗した」と自分を責める
3. 過去の失敗を思い出す
4. 「前もこうだった」「いつもこうだ」と一般化する
5. 「私はダメな人間だ」と自分の存在を否定する
6. 「こんな自分は嫌われる」「価値がない」と追い打ちをかける
7. 「もうどうしようもない」と絶望する
ひとつのミスが、雪だるま式に膨らんでいく。
HSPは繊細だからこそ、この渦に巻き込まれやすいのです。
罪悪感はスパイラルのサイン
HSPは罪悪感を抱きやすい傾向があります。
「自分が悪かったんじゃないか」
「相手を傷つけてしまったかもしれない」
「もっとうまくやれたはずなのに」
この罪悪感こそ、ネガティブスパイラルに入っているサインです。
罪悪感を感じたら、立ち止まってください。
「あ、今スパイラルに入りかけているな」と気づくこと。
それが、抜け出すための第一歩です。
ネガティブスパイラルの止め方 3ステップ
【Step 1】入っていることに気づく
一番大切なのは、自分がネガティブスパイラルに入っていることに気づくこと。
渦の中にいると、それが異常な状態だと気づけません。
「自分を責めるのは当然だ」「反省しているだけだ」と思ってしまう。
でも、同じ失敗を何度も思い出して、自分を責め続けているなら、それはスパイラルです。
罪悪感、無力感、「私はダメだ」という思い。
これらを感じたら、「今、スパイラルに入っている」と自覚してください。
【Step 2】ショックを与えて止める
スパイラルに入っていることに気づいたら、思考にショックを与えて止めます。
具体的な方法:
・頭の中で大きな声で「ストップ!」と叫ぶ
・両手で頬を軽くたたく
・壁をたたく
・腕に輪ゴムをつけておいて、ピシッとはじく
思考の流れを物理的に断ち切るイメージです。
「考えないようにしよう」と思うだけでは止まりません。
意識的にショックを与えることで、スパイラルの回転を止めるのです。
【Step 3】ポジティブな思考をぶつける
スパイラルを止めたら、思考の方向を変えます。
思い出してほしいのは
・今までできたこと
・人から褒められたこと
・人から感謝されたこと
・自分の好きなところ
・自分を大切にしてくれる人たちの顔や言葉
ネガティブな思考が強いと、すぐには切り替えられないかもしれません。
だから、事前に準備しておくことが大切です。
ストロークノートを作ろう
ネガティブスパイラルに備えて、「ストロークノート」を作ることをおすすめします。
ストロークノートとは、自分にストロークを与えるための「ネタ帳」です。

書く項目
- 自分のいいところ
- 自分の得意なこと
- うまくいったこと、できたこと
- 感謝されたこと
- 認められたこと
- 大好きな人たちの名前
ポイント
- 持ち運びできるサイズの手帳か、スマホのメモアプリを使う
- ストロークをもらったら、すぐに書き足せるようにしておく
- 各項目ごとにページ(またはメモ)を分けておく
- 夜寝る前に読んで、自分にストロークを与えてから眠る
使い方
ネガティブスパイラルに入ったことに気づいたら
- 「ストップ!」で思考を止める
- ストロークノートを開く
- 書いてある内容を集中して読む
- 自分で自分に「よくやってるよ」と声をかける
最初は効果を感じにくいかもしれません。
でも、続けていくうちに、壺が少しずつ強くなっていきます。
少々のことでは、ひびが入らなくなります。
「反省」と「自己攻撃」は違う
ここで誤解してほしくないのは、反省することが悪いわけではないということ。
失敗から学び、次に活かす。
それは成長のために必要なことです。
でも、同じ失敗を何度も思い出して、自分を責め続けるのは「反省」ではありません。
それは「自己攻撃」です。
反省は、前を向くためにある。
自己攻撃は、自分を沈めるだけ。
HSPは真面目だから、「ちゃんと反省しなきゃ」と思いがち。
でも、それが自己攻撃になっていないか、立ち止まって確認してくださいね。
まとめ:自分で自分を枯らさない
この記事のポイントをまとめます。
1. セルフディスカウントは自分に毒を盛る行為
2. HSPは気づく力が高いから、自分の欠点も鮮明に見えてしまう
3. 罪悪感を感じたら、ネガティブスパイラルに入っているサイン
4. スパイラルを止める3ステップ:
気づく→ショックで止める→ポジティブな思考をぶつける
5. ストロークノートを作って、事前に備えておく
他人からディスカウントされるのも辛いけれど、自分で自分をディスカウントするのは、もっとダメージが大きいです。
なぜなら、24時間ずっと一緒にいる相手だから。
逃げ場がないから。
だからこそ、自分で自分を枯らさない工夫が必要なのです。
次回は、「受け取れない心をほぐす」というテーマで、ストロークを素直に受け取るための土台づくりについて解説します。

