ある日、私には見えてしまった。
彼の母親が、彼の背中の羽をもぎ取っているのを。
そして、私を排除しようとしていることも理解できた。
彼女は、彼を自分のもとに置いておきたかったのだ。
私は彼に必死に、一緒にここから飛び立とうと説得した。
まだ飛べるうちに。
でも彼は、首を縦にふらなかった。
それどころか私を責め、私を説得しはじめた。
彼には、見たくない真実だったのだ。
気づきたくなかったのだ。
母親のもとで、母親に守られて生きようと。
翼なんてなくても、母親さえいれば良いと。
私は、彼を説得できない自分が情けなかった。
かといって、ここにはいたくなかった。
私は、羽ばたきたかった。
そして私は、彼を置いて、飛び立った。
あれから何十年。
ずっと、他に方法がなかったのかと、自分を責めてきた。
でもようやく気づいた。
私は、彼に必要とされなかったことを認めたくなかったのだ。

今、私は彼の選択に敬意を払って、そして解放しよう。
私は、彼の愛を必要としなくても大丈夫。
私は、彼に愛されなくても大丈夫。
だって――
私は、自分で飛び立つ翼をちゃんと持っているから。
私が今、解放しようとしているもの
エッセイ本編には書かないけれど、私の中には長いあいだ握りしめていたものがあった。
解放するものはひとつではない。
ここに静かに、そっと書き留めておく。
- 彼を救わなければならないという責任感
- 彼に必要とされたいという渇望
- 罪悪感──あの選択を正当化し続けた重さ
- 「他に方法があったのでは」という後悔
- 彼の人生の選択を自分の責任とする癖
- 愛されなかったかもしれないという痛み
- いつか彼は変わるはずだという幻想
これらすべてを、私は今日、手放すと決めた。
私の翼は、
誰に折られたわけでもなく、どこにでもいけるのだから。
お知らせ
元を正せば、私たちは学校で社会で、話せばわかる、誠意をもって接することなどを、刷り込まれてきました。
HSP、ACだと、その刷り込みがとても深く濃いのではないでしょうか。
このエッセイの解説となる記事を書いています。
是非読んでくださいね。



