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脳がつくる「優しい嘘」。見えないものを捏造するのは、あなたへの愛だった

視覚情報の補完を表現した、光を放つ脳とデジタル世界のプログラミングを象徴する幻想的なバナー 量子論と仮想世界

前回の記事で、私たちの脳は、網膜に映った「2次元(平面)」の情報を、爆速で「3次元(立体)」に編集して見せてくれている、というお話をしました。

さらに脳は、「そこに見えていないもの」まで勝手に作り出して、私たちの視界に描き加えているということを深堀したいと思います。

科学的に見れば「捏造(ねつぞう)」や「脳の錯覚」と呼ばれる現象ですが、その裏側にある理由を知ると、なんだか自分の脳が愛おしくなってくるかもしれません。

私たちの世界は、本当は「穴だらけ」

私たちの目(網膜)から入ってくるデータは、実はかなり不完全です。

  • 盲点(もうてん): 視神経の束がある場所には光のセンサーがなく、最初から「穴」が開いています。
  • まばたき: 数秒に一度、視界は真っ暗に途切れています。
  • 周辺部: 視界の中心以外は、実は驚くほどボアボアにぼやけています。

もし脳が、受け取ったデータをそのまま映し出したら、私たちの世界は「穴だらけで、チカチカ点滅する、ひどいノイズ画面」になってしまうはずです。

脳が一生懸命「嘘」をつく3つの理由

それなのに、なぜ私たちは滑らかで美しい景色を見続けていられるのでしょうか? それは、脳が裏方で「優しい嘘(捏造)」をついてくれているからです。

1. 物語をフリーズさせないため

脳は、データが欠けている部分(盲点など)を、周りの景色から「たぶんこうなっているはず」と計算して勝手に塗りつぶします。
これは、私たちが、世界を見やすくするために、脳がリアルタイムで背景を描き足してくれているのです。

2. あなたを危険から守るため

草むらが少し揺れただけで「蛇がいるかも!」と映像を補完するのは、正確さよりも「あなたの命」を優先しているから。
脳は、最悪の事態を捏造してでも、あなたを安全な場所へ逃がそうとしてくれます。

3. 脳が疲れすぎないため

すべての光を1から計算すると、脳はすぐにオーバーヒートしてしまいます。
だから脳は「いつもの景色」を記憶から呼び出して使い回します。
あなたが安心して歩けるのは、脳が「今日もいつもの平和な世界だよ」と映像を補完してくれているおかげなのです。

捏造は、脳からの「愛」でした

こうして見ると、脳がつくる嘘は、どれも「あなたにこの世界を中断することなく、安全に、そして楽に楽しんでほしい」という願いから生まれていることがわかります。

脳は、あなたの人生というゲームを一番近くで支える、超有能で健気なサポーター。

私たちが「現実」だと思っているこの世界は、実はこの「脳の献身的な愛」によってデコレーションされた、とても優しい映像なのです。