焦りグセがなくなる本 -水島広子著
ご訪問ありがとうございます。管理人の美ノ凛です。
今回は、精神科医、水島広子先生の著書「焦りグセがなくなる本」を紹介したいと思います。
この「焦りグセがなくなる本」は、まだ社交不安障害のことを知らない時に、たまたま本屋で見つけ、自分がなぜ、こんなにいつも焦ってるのか、不安軽減につながる考え方を知り、私のなかに希望のひかりを灯してくれた1冊です。
焦りグセを直し、人生の主導権を取り戻す
私は、いつも何かに追われているような感覚のなかに、ずっといました。
大きな問題を抱えているわけでもないのに、安心できない。
いつも、こんなことを、してていいのだろうか?と、出来ていないものを探していたように思います。
この本を読んで、不安自体は、どうしようもないけど、その時に「どうすべきか」を学びました。
焦れば焦るほど、何も手につかなくなる、そんなパニックに陥っているんだと理解できると、次の段階にすすむことができました。
この記事では、何故焦ってしまうのかを、次の記事では、焦りから自由になる方法、そして最後に、焦りグセを予防する生活習慣を書いています。
焦りグセ⇒実際の忙しさとは別に「すぐ焦ってしまう」心の傾向のこと
実際に、「どれだけ忙しいか」と、「どれほど焦っているか」は基本的に別のものだと著者は述べています。
どれほど焦っているかは、「心のクセ」の話であって心の姿勢の問題だそうです。
焦りグセのない人は、忙しくても、なぜかいつも余裕があり、やりたいことがサクサクできています。
一方、焦りグセのある人は、同じ人生でも、いつも何かに追われている感じで、しかも「どうして自分はこんなに要領が悪いんだろう」と思い悩んでいます。
焦りグセの弊害は人生全体に関わることで、自分の苦しさだけではなく、周囲の人達との関係にも影響を与えます。
例えば、次のような行動。
- 焦ってばかりで、周囲の人に十分気を配れない。
- 自分の焦りに周囲を巻き込む。
- イライラして周りに当たり散らしたりすることもある。
「忙しさの眼鏡」を、通して現実をみている
忙しさの眼鏡とは
私は忙しい(「あれもやらなければ」「これもやらなければ」、「あれも終わっていない」「これも終わっていない」という色)を付けて物事を見るメガネのこと
「忙しさの眼鏡」を通してみると、ひとつひとつのタスクが難しくなくても、数分で終わるようなことでも、「あれもこれも出来ていない」と、焦ることに。
そう思えば思うほど何もできず、消耗だけしてしまう。
例えば、洗濯をしようとするとき、ただ洗濯をするだけでいいのに、「忙しさの眼鏡」を通して見てしまうと、取り掛かる前に「洗い物もまだ、掃除も終わっていない」と、いう思考が襲いかかり、必要以上に忙しさを感じてしまう。
そして、出来ていない自分を責めてしまうことにもつながります。
何故、焦ってしまうのか
①何か衝撃を受けたから
人間の心身は、突然の衝撃を受けると緊張した警戒態勢になるそうです。
まず衝撃は心を傷つけるので、自己防衛能力を持った心は「もう傷つきたくないモード」に入ります。
もう衝撃を受けたくないので、その原因は何かと考えます。
そのとき、視線が向かう先は自分。
衝撃を受けたのは「自分に何かが足りなかったからだ」と捉えてしまうそうなのです。
これが、足らない何かを探そうとする「忙しさの眼鏡」を作りだしてしまうのです。
他人からの衝撃
例えば、友人が何か資格を取った場合、資格のない自分に目がいき、その資格を取る必要があるのかどうかを、冷静に検討出来ないまま、「私も資格をとらなきゃ」と焦ってしまう。
焦りグセのある人は、本来は、この衝撃からの回復とともに手放すべき「忙しさの眼鏡」をかけたまま(緊張した警戒態勢)でずっといるのだそうです。
自分からの衝撃
また、自分のことでも衝撃をうけます。
例えば、仕事優先に生きてきて40才になる人の場合、とくに仕事で困ることはないし、そこそこやりがいもある。
でも、仕事だけの人生ではつまらない。他の人は趣味を持ったり人と会ったり楽しそうに見えて、自分はずっとこのままなのかと思うと焦ってしまう。
この場合の衝撃は、40才になったこと。
これまでは、あまり将来のことを考えずにきたけれど、40才になり、残りの人生を考えた時、仕事ばかりしているうちに40才になったことに衝撃を受けてしまった。
衝撃下での自分の足りない探しは、実際以上に足らないところが目がつくので、生き方を考えるのは、衝撃が去ってからにした方がいいそうです。
日常生活に戻ってしばらくすると、自分は仕事中心に生きるのが向いていると気づくことが出来るかもしれないし、実は自分は幸せに生きているのだと、思い至るかもしれません。
ひどい焦りを感じた時、自分が何かに衝撃を受けていないか、チェックしてみると、いつ「忙しさの眼鏡」をかけてしまったのか気付くことが出来、冷静さを取り戻せるのだと思います。
②不安は、焦りグセのエネルギーのもと
焦りグセの正体は「もしも〇〇が起こったらどうしよう」という不安だそうです。
では不安とはどういう感情なのか。
人間が持つあらゆる感情には、自分を守る役割があるそうです。
不安を感じると、私たちは慎重になったり、言動を控えたりするものですが、それは「安全が確保されていない」からであり、それを教えてくれる感情が不安だと著者は言います。
不安にかられる人は、あらゆる物事を「安全が確保されていない」という意味付けをしてみているそうです。
「もしも○○が起こったらどうしよう」というのは、一見、自分の頭で考えているように見えるのですが、実際には自分とは関係なく頭の中に浮かんでくる強迫観念と呼べるもの。
「ふと不安な思考が浮かぶ」というのは 誰にでもあることですが、それに対して、「いや、そんなことはないだろう」「もし、そんなことになっても何とかなるだろう」「そんなことばかり心配していたら生きていけない」などと割り切ったり、「そうなった時のためにあらかじめ誰かに相談しておこう」と対策を立てたりしながら、私たちは生きています。
この時、自分が責任を持っているのは「いやそんなことはないだろう」「誰かに相談しておこう」などと自分の頭で考えていることの方であり、ふと浮かんでくる思考には自分の責任にはないのです。
③やらされているという被害者意識
焦りグセのある人の特徴に、「やらされている」という被害者意識があるそうです。
「本来はもっと、じっくりやっていきたいのに…」「本来はもっとゆとりある人生を送りたいのに…」という具合に、本来自分が望んでいる生き方と違うことを「やらされている」という意識。
この被害者意識は「焦りグセ」を強め、下記のような悪循環に陥ってしまいます。
デスクが散らかっている➡デスクなんて、片付けている暇はない(焦りグセ)➡こんなに汚いところで働きたくないのに働かされている(被害者意識)➡イライラして仕事の効率が下がる➡いっそう焦る
④メリハリのなさ
焦りグセの人は、慢性的に「あれもやらなければ」「これもやらなければ」「あれも終わっていない」「これも終わっていない」と考えてしまうので、「今が力の使い時」「今はリラックスする時」というメリハリのある行動をができないそうです。
しかし、人間は限界のある生き物で、24時間365日働き続けることはできません。
また、適度な休息でリフレッシュしないと作業効率は落ちてしまいます。
休む時は、余計なことを考えないでしっかり休むことが大事です。
そして、自分の力を最大限に引き出して、気持ちよく生きるためには、自分の意志でメリハリをつけることだそうです。
これこそが、やらされている人生から脱して、自らの人生のオーナーになるということになるそうです。
人によって、持って生まれてくるものも、生育環境も、それぞれが異なりますが「人生を送る」という点では皆が同じで、その人生の質を決めることは自分でできると、著者はいいます。
今と同じ立場で生活を続けるにしても、このまま、忙しい忙しいと焦って暮らすか、焦りグセから解放されて自分のペースを取り戻し生きていくのか、選ぶのは自分だと。
私は、①の衝撃と焦りの関係が、新鮮な学びでした。
他人の幸せを素直に喜べないときは、まさにこの状態ですよね。
そして、それは一時的なものであることに気付き、回復の段階になるまで、放置しておくことを知ったので、少し楽になれました。
次の記事では、焦りから解放される有効な手段を紹介したいと思います
この記事は精神科医の水島広子先生の著書、「焦りグセがなくなる本」を参考に作成しています。